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湘南新宿ラインの今後
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2011.12.1更新
2004年10月のダイヤ改正で一応の完成形を見た湘南新宿ラインであるが、
都心貫通ルートを更に有効活用すべく、他社をも巻き込んだ新規構想・計画が
相次いで明らかになりつつある。現時点で判明しているものを紹介する。
新宿〜東武日光線直通特急 new!
相鉄線〜東海道貨物線直通構想 new!
大崎短絡線新設計画
渋谷駅ホーム移設構想
E217系湘南新宿ライン転用の検討
武蔵小杉新駅設置
新宿〜東武日光線直通特急
宇都宮線・栗橋駅に宇都宮線〜東武日光線の連絡線を新設し、
2006年3月18日のダイヤ改正から新宿から東武日光線経由で
東武日光・鬼怒川方面への直通特急の運行が開始された。(プレスリリース)
1日4往復、所要時間は約2時間程度、
途中の停車駅は池袋・大宮・栃木・新鹿沼・下今市。
(栗橋は通過となる)
湘南新宿ラインとは、新宿〜栗橋間で線路を共用する。
使用車両は、東武は100系スペーシアを、
JRは在来特急型車両を改造して充当。
東武としては、現在圧倒的に不利な都心西側からの集客に
期待がかかるところである。また、埼玉県の中心部である
大宮方面からの集客効果もあわせて期待できる。
特急以外の一般列車の直通については、現時点では白紙である。
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相鉄線〜東海道貨物線直通構想
相鉄線の西谷駅付近から東海道貨物線の羽沢付近に至る短絡線を新設し、
相鉄線から東海道貨物線・西大井経由で新宿(東京)方面への直通列車を
走らせる構想が明らかとなった。
相鉄・JRともに計画決定の正式発表があったわけではないが、
国土交通省はこの計画に乗気であり、乗り継ぎ円滑化のための
補助制度の適用まで公言している。
横浜東部方面線(二俣川〜新横浜〜大倉山)構想との整合性が課題で、
中田横浜市長は、当初短絡線新設と横浜東部方面線両方の実現はないとコメントしていた。
しかし、2006年元旦の神奈川新聞によると、西谷〜羽沢を短絡線と共有のうえ、羽沢〜新横浜〜日吉を
別途建設する形で東部方面線を整備する構想が各社と国・県・市で検討されていることが明らかとなり、
今後の調整の行方が注目される。
図:相鉄線〜東海道貨物線および東急直通ルート想定
【考察】
西谷〜羽沢短絡線構想が発表された当初、
相鉄は東京都心直通ルートとしてJR経由か東部方面線経由かの
二者択一を迫られるのではないかと見られてきた。
ところが、西谷〜羽沢短絡線を東部方面線の一部として組み込むことにより、
両者を一体化して整備する方向で検討が進められるようになった。(図参照)
東海道新幹線が停車し、横浜の第二都心として発展を続ける新横浜を経由する
東部方面線を切り捨てるのは惜しいと思われていただけに、
羽沢短絡線と両立する方向で検討が進められているのは喜ばしい限りである。
次に、JR直通、東急直通それぞれの得失について考察してみよう。
JR直通は渋谷・新宿・池袋、品川・東京…と都心側のルートに恵まれ、
状況に応じて行き先を自由自在に選べるのは大きな魅力である。
また、途中駅が少ないので速達性にも優れている。
JR線内で各駅停車タイプになったとしても、東急の急行クラス以上に
短い所要時間で都心と結ぶことができるようになるだろう。
ただし、直通客が予想より大幅に増えた場合、
果たして輸送力増強に対応しきれるかという問題がある。
別項で述べている大崎短絡線によって平面交差支障がクリアできたとしても、
新川崎〜西大井間の線路容量にあまり余裕がないことに変わりはない。
もちろん貨物とのダイヤ調整の問題もある。
東急直通の場合、東横線+メトロ13号線経由で渋谷・新宿三丁目・池袋、
あるいは目黒線経由で大手町方面と、こちらも選択肢は多い。
さらに受け皿となる東横線の13号線直通に伴う優等10両化計画があり、
現在6両の目黒線は既に全駅8両対応の設備を持つなど、
JRと比べて輸送力増強の余地が大きいのが強みである。
ただし、速達性については心もとない部分がある。
東横線はラッシュ時における優等列車のスピードダウンを余儀なくされているし、
目黒線も沿線の要望に押された形で設置駅が当初予定より増えてしまっている。*1)
急行運転の計画があるものの、どこまで速達性を確保できるかは未知数である。
例えば田園調布〜日吉(〜大倉山)間の複々線を、完全に種別ごとに分けるなど
思い切った手を打たなければ、JR直通に伍する速達性の確保は難しいのではないだろうか。
*1)後から追加された駅として、元住吉がある。
複々線化に協力する見返りとして地元が停車を求め、東急がそれに折れた格好だ。
同駅は東横線に独自の追い抜き線が整備されることからも、現時点で
この区間の複々線を緩急別に使い分ける予定がないことは明らかである。
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大崎短絡線新設計画
西大井駅北方にある新宿方面と品川方面の分岐点・蛇窪信号場は
現在、平面交差による分岐となっており、品川方面からの横須賀線下りと
新宿方面への湘南新宿ライン北行に平面交差支障が生じている。
上記相鉄線の新宿方面直通構想を受け、新宿方面の更なる増発が予想される為、
平面交差によるダイヤ上のネックを解消すべく、西大井方から大崎駅へ
直接抜ける短絡線新設計画が浮上した。
大崎駅も若干の改修が行われるが、2面4線の基本構造に変化はないものと思われる。
図:西大井→大崎間短絡線新設計画
なお、短絡線が新設されても既設の新宿方面行き平面交差は撤去しない。
これは、短絡線の勾配が35パーミルと、機関車牽引の列車が通るには
急すぎるため。
先だって地元説明会が行われたが、一部難色を示す勢力もあり
実現には多少の紆余曲折が予想される。
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渋谷駅ホーム移設構想
湘南新宿ライン(埼京線)渋谷駅ホームは大崎寄りに大きく偏って設けられており、
山手線をはじめとする各線区との乗り換えが著しく不便である。
そこで、現在山手線ホームに隣接している東横線渋谷駅が
東京メトロ13号線との直通化で地下に移設されるのに伴い、
空いたスペースに湘南新宿ライン(埼京線)渋谷駅ホームを移設し、
乗換の便を向上させようというものである。
これは「渋谷駅周辺整備ガイドプラン21」という
渋谷区の構想の中で提言されているものである。
(中段の「渋谷駅改良の必要性」参照)
今のところ鉄道各社からの公式なアナウンスはない。
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E217系湘南新宿ライン転用の検討 2011.12.1修正
2004年10月の改正以降、国府津区のE231系は所定の運用数に対し
編成数が1本足りない状態が続いており、目下のところ小山区の編成を借りて
当座をしのいでいる状況である。
一方、同改正で湘新ラインから撤退した総武快速・横須賀線のE217系は
比較的運用に余裕があるとされているため、同系のうち3本を湘新ライン用に
転用改造することが検討されている。
想定されている改造案は下記の通り。
・11+4両組成を5+10両に変更。
増1・増2号車の間に7号車を組み込んで5両にし、連結位置を北側に変更。
・半自動ドア化。
・現11号車先頭部を電気連結器に。
これは鉄道各誌に「まだ検討段階」として公表されたもので、今のところ実現していない。
2011年秋より田町区にE233が投入され、東海道線全体の車両置き換えが進捗している状況を鑑みると、
今後の実現可能性は低くなったものと思われる。
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武蔵小杉新駅設置 2011.12.1修正
西大井〜新川崎間、南武線との交点に武蔵小杉新駅を設置することでJR東日本と川崎市が合意に達した。
新駅は新川崎駅から品川方に約3km、南武線武蔵小杉駅から東に約300mのところに位置し、2009年度内の開業を目指す。
JR東日本のプレスリリース(PDF形式)
新駅周辺の正確な地形図はこちらを参照
下り線を海側(図の右側方向)に移設し、15両対応の島式ホーム1面(310m)を
図の中央、赤い十字付近から南武線との交点の間に新設する。
赤い十字の部分に改札口、左側には駅前広場が設けられる。
南武線とは、地上の連絡通路(約250m)で結ばれる。
なお、赤い十字の少し上から左上の南武線ホームに向かって伸びている線は武蔵野貨物線(地下トンネル)
同駅に停車するのは横須賀線と湘南新宿ラインの普通タイプの列車、一日上下約260本の予定。
成田エクスプレスの停車については今後検討する。(地元から要望が出ている模様)
南武線経由と比べ、品川まで約15分、横浜まで約10分の時間短縮が図られる。
新駅一日あたりの乗降客数は乗換客を含め約7万人、JR駅全体では約4万人増加の約18万人を見込む。
概算事業費約200億円のうち、新駅および駅前広場は市負担、南武線との連絡通路はJRと市が半額ずつ負担。
(参考:4月6日交通新聞)
武蔵小杉駅周辺では種々の再開発が進められているほか、
川崎市営地下鉄第一期線の起点を元住吉から武蔵小杉駅に変更する構想もあり、
実現すれば武蔵小杉駅は川崎市中部の一大交通拠点に生まれ変わることとなろう。
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